涅槃会(ねはんえ)
涅 槃 会
ー お釈迦さま最期の処方箋 ー
2月15日は涅槃会(ねはんえ)。お釈迦さまの入滅(亡くなること)された日にあたり、その様子を描いた涅槃図を掲げ、法要を営む寺院が多くあります。お釈迦さまが遺された最期の教から、今をどう生きるかを考えます。
( 写真は、広渡寺の「涅槃図」です )
完全なるさとり
「人生は旅」といいますが、お釈迦さまの生涯はまさに人々に教えを説くたびした。「涅槃経」というお経には、最期の旅の様子が表された後世、涅槃図もこれに倣い制作されました。
そもそも涅槃とは、経典に記した古代インドのサンスクリット語「ニルヴァーナ」を原語とし、「迷いの火を吹き消した状態」すなわち「さとりの境地」を意味します。また、迷いの根源である肉体から生命の火が吹き消されたということで、亡くなることの意味にも使われています。お釈迦さまは「さとり」の境地を35歳のときに得られましたが、肉体が滅し「完全なるさとり」に入られたのが80歳。苦の根源である煩悩が心身ともに「滅」の状態に入ったことから入滅(にゅうめつ)、または涅槃と呼んでいます。
涅槃会には「涅槃図」や「涅槃像」が祀られ、お釈迦さまの最期を偲びます。涅槃図には沙羅双樹(さらそうじゅ)の間に横たわるお釈迦さまの周りで多くの弟子や人々、そして動物たちまでが涙にむせび、悲しむ姿が描かれています。
涅槃像はお釈迦さまが亡くなられたときのお姿、北を頭にし顔を西に向けた姿を彫刻。にしたものです
最期の教
「この世のことはすべてうつろい、永遠なるものは一つとしてない。怠ることなく一生懸命につとめよ」
これがお釈迦さま最期の教です。前半は仏教の基本の教「諸行無常(しょぎょうむじょう)」をさします。すべての事象が常に移り変わることをしっかり見つめたならば、今の一瞬、一瞬が二度とない大切な時間と思えるはず。そして、その大切な人生を仏教の教え・実践を通して正しく歩みなさいと示されているのです。
(文章は『浄土宗新聞、2月号』より抜粋)